Loss / Horizonless (2017)
Rate:A
アメリカ南部テネシー州ナッシュビル出身の4人組葬式ドゥームメタルバンドの、フルアルバムとしては6年ぶりとなる2作目。リリースはカナダの我々ボンクラメタラー御用達のProfound Loreより。
Adam Burkeの手掛けるこのジャケットの美し過ぎるアートワークだけでもう7億点で良いのではなかろうか。絵の事は分からんが、彼らの音楽がどんなものか知らない人でも、手に取ってみようと思わせる引力のある絵だと思う。まあ、知らずに手に取った人間の末路までは当方は責任を負いかねるが。
満天の星空、解けていく自我、闇夜との境が曖昧になった地平線、生も死も、希望も絶望も、全てはこの暗黒のモノリスを中心に崩れて無へと還っていく。ギター、ベース、ドラム、ボーカル、プロダクション、おおよそこのアルバムを構成する全ての要素でもって重さと悲哀とダイナミズムを指向する様は、さながら音で表現するブラックホールのよう。まあ葬式ドゥームの大半がそうじゃねえかという説はあるが、一音鳴った瞬間の空間支配力と曲構成の巧みさは圧倒的に圧倒的を重ねた感じだ。しかしまさかピッチフォークが取り上げるとはねえ…。
かのMounful Congregationのバンマスは「フューネラルドゥームは心臓の鼓動が遅い人の為の音楽だ」と言っていた。音楽業界の新陳代謝は早い。メタルの界隈の新陳代謝も一部を除きまあ早い。フューネラルドゥーム界隈の新陳代謝には、多分両生類が爬虫類に進化するくらいの期間がかかるだろう。でもそれでいい。