Culthouse diaspora

風が辿りつかない場所

2014年上半期ベスト

どーもこんにちは。
クッソ暑い日が続く中皆様いかがお過ごしでしょうか。

このブログを季節ごとにしか更新しなくなって随分経ちましたので、今回は割とまともっぽい季節の挨拶から始めてみました。そこから何か話が広がったりはしなんですが。

まー、私自身転職とか色々あった半年でしたが、それでもこの季節になると上半期に聞いた音源のベストを晒したくなるのは衝動というか、ネットメタラーの本能みたいなものですね。去年の年末ベストやらなかったけど。

とりあえずそんなこんなでいってみましょー。


13.Sulphur Aeon/Swallowed by the Ocean's Tide

ドイツ産デスメタルの1作目。最初に挙げる音源が2013年リリースってのはどうかと思いますけど、細かいこと気にするなよ。ジャケ見れば分かる通りのクトゥルフ大好きっ子さん達です。もこもこした音で大洪水みたいなデスメタルやっててちょうカッコいい。1作目でここまでやれるのは大したものです。ただこいつら、前身のバンド名が「December Flower」って名前でして、幾らなんでもヒネリが無さ過ぎるし、聞かなくても大体どんなことやってたのが分かるのってどうなのかなって気はします。先日開催されたブラジルワールドカップで、開催国ブラジルを完膚なきまでに叩きのめして結局優勝したドイツですけど、この連中サッカーとか興味なさそうだなー。



12.Young and in the Way/When Life Comes to Death

アメリカはノースカロライナ出身のブラッケンドハードコアの2作目。ブラックメタルの要素盛り込んだハーコーなりクラストなり、最近やたらに数が増え過ぎてまともに追えてませんが、こいつらはその代表格(なんじゃないのかな、多分)。雑な言い回しをすれば、黒化したConvergeだな。アルバム最初の方は超カッコいいけど、後半になるに従って尻すぼみになっていく所までConvergeそっくり。1回くらいライブ見てみたい気はします。



11.鈴木このみ/17

大阪出身のアニソン歌手の1作目。鈴木このみは96年生まれの本年17歳。目標とするアーティストは初ライブで衝撃を受けたMay'nなんだそうな。うわあ・・・。1万人以上参加のアニソングランプリ勝ち上がっただけのことはあって、歌唱力やら表現力はやはり圧倒的。2012年に黄昏乙女アムネジアのアニメの主題歌でデビューしてからずっと楽曲に恵まれてる感もありますな。このアルバムは、とかくアップテンポの高カロリーアニソンばかりが延々と並ぶ鬼畜構成。途中エメラルドソードみたいな曲があって大爆笑しましたが、Dragon Guardianのアルバムにゲスト参加とかしてるんですねこの人。ほへー。最近女性声優の外見が良くなり過ぎて不安になるという意見を割と見掛けますが、最近の女性アニソン歌手には昔の女性声優みたいな外見の人が結構いますので、その辺りで安心感を得られると良いかと思います。



10.Cynic/Kindly Bent to Free Us

フロリダ産プログレメタル3作目。最初のFocusが1993年リリースで、そっからTraced in Airが出たのが2008年で、その間15年のブランクがあったわけですが、今作も前作から既に6年経ってるんですよね。つくづく時間の流れがおかしなバンドよな。まあEPもありましたし、メンバーはCynic以外でも何かと活動してるのでそんなにブランクがあった感じはしないのですけども。さて置き、今回は2ndやその後に出たCarbon-Based Anatomyの路線ともまた変わって、よりメタルからプログレに漸近したようなアルバムになってます。正直薄味。でも不思議と耳には残るし、さらっと聞けるけども思い出した頃に再生したくなる変な中毒感はあるしで、今回もきちんとCynicじゃないのさ。ちなみにバンマスがゲイだってことを最近カミングアウトしたらしいですが、昔からCynic聞いてる人間からすれば今更です。お前がゲイだって知ってたよ(Copyright (C) AxCx)。



9.Triptykon/Melana Chasmata

我らがトム・G・ヲリアー御大率いるとりぷちこんの2作目。1stに引き続き相変わらず禍々しさにステータス全振りしたような作風は相変わらず、というかそれ以外何もやる気はないのでしょう。スイスでどんな暮らししてたらこんな音になるんだろうな。今年ギーガーは亡くなりましたけど、この人も死ぬまでこの調子なんでしょね。



8.Eyehategod/Eyehategod

アメリカはルイジアナニューオリンズ出身、スラッジコアの元祖の14年ぶりとなる5作目。中途半端な時期にバンド名をアルバムタイトルに持ってくる連中って、基本的に大コケするかひたすら中途半端なシロモノ送り出してくるかのどっちかなので、嫌な予感しかしてなかったのですが、蓋開けてみれば1曲目がバカっ速いクラストコアで色んな意味で面喰らうけど、あとは相変わらずのEHG印の極悪スラッジナンバーがズラリ。そうかと思うとアルバム後半にはまた速い曲あったりして、とてもカッコいいじゃないですか。開催されないイベントの代名詞になってしまったKabuto Metalで来日がアナウンスされてましたし、近い内に来日して欲しいッスね。



7.Corrections House/Last City Zero

で、そのEyehategodやNeurosis、Yakuza、Minskのメンバーらが集まったプロジェクトの1stアルバムが本作。これも去年リリースだけどもういいよな?この面子を集めて出来上がったのがノイズ、スラッジ、パワエレ、アンビエント、インダストリアルの全乗せヤサイニンニクアブラ増し増し。お腹いっぱいです。



6.小松未可子/e'tuis

声優みかこしの2作目。前作から1年という短いスパンでリリースされた本作ですが、とりあえず冒頭4曲の畳み掛けで、ヤられてしまいましたね・・・。楽曲の触れ幅の広さ、本人の声質と相まってアルバム通しで聞いても聞き疲れしないとこ等々、スターチャイルド的には次代のポスト堀江由衣にこの人据えたいんだろうなあって意図が見えなくもないです。まあ、ぶっちゃけると楽曲の質では前作の方が粒が揃ってた気はしますし、本作ラストの17分の曲にしても一つのトラックにする意味があったとは全く思えないメドレーだし、アルバムに収録されてたら間違いなく良いフックになったであろうシングル「虹の約束」が何故収録されてないの、とか不満は色々あるのですが、それ差し引いても魅力的なアルバムだと思います。まだまだ伸びしろありそうだしね。でもこの人が今まで出演してたアニメが絶妙に俺の興味から外れてるのが多くて、未だに声優としてどんな演技してるのか個人的に掴み兼ねてたりします。モーパイとビルドファイターズくらいは見てみようかなー。



5.Hail Spirit Noir/Oi Magoi

ギリシア出身のプログレブラックの2ndアルバム。前作は未聴。これ70年代サイケ、そしてプログレブラックメタルの鬼籍の、間違えた奇跡の融合、とか言っておけば色んな人釣れるんじゃないでしょうか。1曲目からいかがわしいプログレサウンドに乗せて吼えるヴォーカル、曲の後半で無理やりにKing CrimsonのEpitaphに着地させる交通事故みたいな超展開。バッカじゃねーの。途中思い出したかのようにブラストビート入れてくる曲もあるけど、こんなのが全7曲49分に渡って延々と続きます。そりゃお前らの国は経済破綻するよな。ただなんつうか、引っ張ってきてるパーツは完全に70年代のそれだけど、曲の組み立て方は割と最近のメタルの方法でやってる気はするんですよね。そこが最近の単純に70年代への憧憬が強くなり過ぎてるだけでクソつまんなくなったOpethと違う所かと。途中少しだれるけど、初めて聞いた時のインパクトはこのアルバムが今年一番でしたよ。



4.Cloud Nothings/Here and Nowhere Else

オハイオ州クリーヴランド出身のインディーロックバンドの3作目。彼らの過去作聞いてないですし、そもそもインディーロックに対してほとんどアンテナ張ってないのでアレですが、このアルバムは素直に良かった。乾いた質感で埃っぽくバタバタと突っ走る様はひたすら爽快、でもほんのりとシケた情感は漂ってて、なんかグッと来るんだよな。この前の来日見逃したのが悔やまれるよよよ。



3.Funereal Presence/The Archer Takes Aim

ニューヨーク出身ブラックメタルの1stアルバム。同じくアメリカのNegative Planeなるバンドでドラム叩いてるBestial Devotion(頭の悪過ぎるステージネームだ)って人が全ての楽器とヴォーカルを担当してる模様。初期のBurzumみたいな音作りを土台にしつつ、邪悪かつ猥雑で、そんでもってキャッチーに邪気をばら撒いててむっちゃカッコいい。ネタ元のヴァーグさんは今年も新譜出してるみたいですけど、つべで試聴した感じ今回も安定してつまんなかったので、あんなもん無理して聞くよりこちらでによによする方が精神衛生上よろしいかと思います。



2.Howls Of Ebb/Vigils of the 3rd Eye

サンフランシスコ出身のデスメタルの1作目。何かよく分からない気色悪いジャケ、ヴォーカルも気色悪いし、ギターもベースも無闇に不穏だし、ドラムも重いのに手数多くて羽虫みたいだし、それが渾然一体になって、名前もよく分からん疫病の発生元の黒い沼がうぞぞぞぞぞって蠢きながら移動してるような気色の悪い光景がダイナミックかつドラマティックに展開していく。ただ一言で言い表すとすればロクでもねえ。けどちゃんとメタルとしてカッコいいって所が本当に性格悪い。この底意地の悪さって今は亡きイギリスのAkercocke辺りに通じるものがあるような気がします。つーかAkercockeの連中って今何やってるんだろうな?



1.BUCK-TICK/或いはアナーキー

日本は群馬県出身、今年でデビュー27年を迎えるロックバンドの18作目。バクチクって、何作か実験的なアルバムを出した後に決めのアルバムをリリースするというパターンが多いんですが、今作は間違いなくそんな「決め」のアルバム。むしろ2000年代に入ってからの彼らのカタログの中でも屈指の名盤ではないかと。これでもかってくらいにバラエティに富んだ楽曲が異様な密度と熱量でドロドロに溶け迫り来る。どうしようもなくB-Tらしくて、それでいて新しいB-Tのスタイルを叩きつけてくる傑作。文句なしに今年上半期一番のアルバムですよ。




そんでもって上半期ワーストです。

Arch Enemy/War Eternal
新しい女ヴォーカルが入ったらしいですね。いい歳こいたオタクのおっさんが自分より若い女バンドに入れて悦に入ってる図って、端的に言って見苦しいだけだと思います。


・Babymetal/Babymetal
なんつうか、べビメタって店構えも立派で一流のシェフがいる料理店で、凄い値段の高い皿に盛られてひたすら食品添加物が出てくるような感じだよな。これは新世代のアイドルの新しい形だとか、メタラーとしてこれ受け入れられないのは狭量だとか、売り方はともかく曲の出来は良いとか、心底どうだっていいDeath。俺は食品添加物を大量に使った身体に悪い豚向けの料理が好きなのであって、食品添加物そのものが好きなわけじゃねえよ。最悪だろコレ。


petit milady/プチミレディア
悠木碧竹達彩奈によるユニットの1作目。クラリスみたいな曲があったり、シェリルとランカみたいな曲があったり、おおよそこの2人が組んだらこういう曲やるだろうなってこちらの予想範囲から1ヨクトメートルも外に出ることなく、予定調和のブラックホールの中に留まり続ける楽曲群は職人芸の域を遥かに超えて狂気の領域に踏み込んでます。まあ点数つけるとしたら0点ですけどね。俺ももうすぐ30歳になりますが、こんなシロモノありがたがる程枯れてないです。


とまあこんな感じで。

例によって聞き逃してるアルバムは沢山ありそうですが、それはまた年末に。記事書くかどうかは分かりませんが。