Culthouse diaspora

風が辿りつかない場所

阿佐ヶ谷:ミート屋

ミート屋

食べログ ミート屋

先日七夕祭りで阿佐ヶ谷を訪れた際、並み居る屋台の中で一際大きな存在感を放っていたミート屋。その日に屋台で提供していたのは屋台仕様のペンネパスタであったが、おおよそ屋台のクオリティを遥かに超えた味で大層感銘を受け、これは必ず通常営業の店舗にも行かねば、と思っていたのだった。

そんなことを考え過ごして一週間が経った頃、久方ぶりに中央線住まいの友人から食事の誘いが来た。その友人にもミート屋の事を話したところ、一もニもなく行きましょう、という話となり。今日の仕事を終えて阿佐ヶ谷駅で友人と合流。パール商店の中を進んでいく。
商店街を歩くこと3分ほど、ミート屋が見えて来た。入り口からすぐの場所に食券機があり、さながらラーメン屋のよう。扱っているメニューは、普通、大盛、特盛の3種と、数種類のトッピングにワインとビールのみ。まあ随分とシンプルなものである。特盛が320グラムと、少々重過ぎる感じがしたので大盛を選び、カウンターへ。食券を店員さんに渡し、付け合わせに出されたサラダを平らげ、待つこと5分ほど。何と丼
でスパゲッティが出てきた。

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セオリー通りにソースと麺を混ぜて、一口含んでみる。濃厚でありながら、丼が似合うワイルドさを兼ね備えたデミグラスがベースのソースと、バターの効いたモチモチのパスタが絡んでいく。この麺、多分コショウだけ振りかけて食べても美味しいのだろうなあ、とはその友人の言。まあとにかく、むちゃくちゃ美味い。更に粉チーズとコショウ、タバスコを振りかけて食すと、それぞれ違った味わいとなり、これまた非常に楽しい。ラーメンの気軽さと、繊細な洋食の味わいとが高次元で融合した、ヴァイヴスの塊のような一品であった。10分以内に食べきってください、という注意書きがあるのも良い。そうだ、これは早めにがっついて食べるのが一番良い。しかし食べ終えた後の幸せな余韻はその後もずっと続く。このクオリティで普通盛が900円は安過ぎるだろう(大盛りは1000円、特盛りは1200円)。
メインのメニューを一品に絞る、というのは実際なかなかに思い切った決断であろうと思う。周知の通り、阿佐ヶ谷界隈は食事処、とりわけラーメン屋は非常に多く、中途半端な店は本当にあっという間に淘汰される。そんな修羅の巷に、まさかのミートソースパスタだけで勝負を挑んでいくこの店は、長ドス一本で他の組にカチコミを仕掛けるどっかの若頭みたいで、もうそれだけでカッコいいじゃないか。
阿佐ヶ谷で迷った時はここ! という個人的な新たな定番が生まれた瞬間であった。