Culthouse diaspora

風が辿りつかない場所

平成ガメラ三部作をマラソンしましたのよ

気分次第で90年代の亡霊になったりゼロ年代の虜囚だったりする私だが、今回は前者のアバターである。

定期的に見返したい衝動を覚えつつも何となくその機会を逸し続けてよちよち歩きだった子供が小学校に入学するくらいの年月が経過していた平成ガメラ三部作を先日ようやくマラソンし終えたので感想でも書こうと思う。

 今更ガメラという怪獣が何かという事については語らずとも良いだろう。詳しく知りたければ2年前にVargaというカナダのメタルバンドが発表したアルバムに収録されている、そのものズバリ"Gamera"を聞いてみると良い。


VARGA - Gamera - [LYRIC VIDEO] - YouTube

尚、この曲の歌詞に登場するガメラについては、亀の怪獣であること以外正しい情報が一つも無いので予めご了承頂きたい。

 

ガメラ 大怪獣空中決戦(1995)

平成ガメラシリーズ1作目。公開が95年の3月で、ゴジラVSデストロイアの公開が同年の12月である事を考えると、少々因縁めいた何かを感じる事も…まあ、ないな。前作から15年ぶりの復活作である本作は、ガメラ=人類の味方という昭和ガメラの路線を踏襲しつつも、平成ゴジラシリーズを意識したシリアスな怪獣映画に仕上がっている。当時完成したばかりだった福岡ドームを使ったギャオス封じ込め作戦とか、そんなギャオスに電車ごと襲われて喰われるヴェルディ川崎のサポーターとか、作中で唐突にガメラとの共感能力に目覚める藤谷"セガールの娘"文子のイマイチな感じ等々、公開から20年経った今でも見所は多い。無論時代を感じる部分は多々あるが、復活作としては申し分の無い作品であることには間違い無かろう。

 

 ガメラ2 レギオン襲来(1996)

2作目。巷の評判でもこのレギオン襲来を平成ガメラシリーズの最高傑作に推す声が大きいが、私もそれに対して異論は無い。このブログをご覧になってて本作を未視聴の諸賢らは、とりあえずこの予告編だけでも見て欲しい。


ガメラ2 レギオン襲来/予告編 - YouTube

ドキドキするっしょー!?

都市のネットワーク網を次々と破壊しながら南下する謎の宇宙生物レギオン、その首都圏到達を何とか阻止しようと奮闘する自衛隊、人類の、否、地球の守護者としてズタボロになりながらもレギオンに戦いを挑んでいくガメラ先輩の侠気…私が怪獣特撮に求めるもの全部がここにある。ギャレス・エドワーズは本作を10回くらい見てゴジラを造り直しやがれ。

 

ガメラ3 邪神覚醒(1999)

3作目。一応平成ガメラシリーズの完結作という位置づけ。2006年に公開されている「小さき勇者たち~ガメラ~」に関しては私が未視聴であり、今後も見る気はしないので割愛。このガメラ3に関してはどこの感想を覗いてみても前田愛が可愛い、前田愛萌え、前田愛がエロい、仲間由紀恵がミイラになって死ぬ、くらいの事しか書かれてなくて、本当にどうしようもねえなって思う。確かに当時16歳で、ガメラに家族を殺されたという設定の前田愛の影のある感じは確かに可愛いし、作中2回もイリスに取り込まれて粘液塗れになったり、「イリス…熱いよ…」とか、製作陣の歪んだ性癖が随所に垣間見えて、私は大変に良いと思います。で、その前田愛が可愛い本作だが、ストーリーの方はオカルト、古代神話、1999年らしい終末思想等々、何か色々取り込みすぎた結果思いっきり消化不良を起こしている感じ。だってドリームキャストによる未来予測ソフトとか爆笑するしかねえだろ。しかしそんなガメラ3の一番の見所は…まあ前田愛なんだけど、それ以外にも「人間目線から見た巨大怪獣の恐ろしさ」を真正面から描き切っている所も大きい(これも上記の前田愛のキャラ設定に絡む部分ではあるのだが)。街でデカい怪獣同士がぶつかったら暮らしてる人間はどうなるか、そりゃあ死ぬ。木っ端の如く死ぬ。ギャオスが人類の敵でガメラが地球の守護者であろうがお構いなしだ。人間は死ぬ。平成ガメラシリーズは1作目から人間視点から見た怪獣の描写に重きを置いているが、このガメラ3の渋谷駅崩壊のシーンはその極致と言えるだろう。


The battle of Shibuya (Gamera 3) /ガメラ3 渋谷 - YouTube

他にも京都駅に降り立つイリスのシーン(最高に美しい)とか、30秒くらいで死ぬ仲間由紀恵、シリーズを通じてイマイチな印象を放ち続ける藤谷"セガール"文子の前田愛と比べた時のヒロイン力の差とかとか、なんつうか、シリーズ中一番お話がチグハグなのは間違いなくガメラ3だけど、酒の肴にして一番楽しいのもガメラ3であるような気はする。

 

 

とまあ、そんな感じで雑に平成ガメラを振り返ってみた。1作目が既に20年前の作品であると気付いた時には流石に冷静さを失いかけたが、まあ仕方ないよね…。

平成ゴジラ平成ガメラに共通する90年代感を色々紐解いていくと面白い発見が沢山ありそうな気もするが、面倒臭そうなので誰かやってくれ。頼む。そして私はオリンピックの新種目にピンポンダッシュが決まった時のような微妙な気持ちで2016年の庵野・樋口ゴジラを待つとしよう。