Thrash Domination 2015
もう10日以上前になるが、今回で10回目となるスラドミ2015(1日目)に行ってきたのだよ。遅まきながら感想を書く。
私が最初に行ったスラドミは2009年、最後に行ったのは翌年であるから…あれ、5年ぶり?ライブ後に飲み屋でご一緒したTwitter経由の知人の人らにはいかにも時分がスラドミ熟練者じみた語りをしていたが、すんません、私はただのポーザーです。ま、まあ、震災後開催されてない期間もあったしな、仕方ないよな!
当日は今回のメンツと特に関係のないDefleshedのUnder The Bladeを聞きながら川崎へ向かった。やはりDefleshedはかっこいい。そして年間を通じてスラドミ以外に訪れる用事が全くない川崎の駅から、更にスラドミ以外で訪れる用事が皆目ないクラブチッタへ到着すると、そこには日頃どのような日常生活を営んでいるか全く想像を許さないスラッシュメタラー共が大量に溢れていた。私が行ったのは土曜日であったが、当日券が売り切れる程の盛況であったらしい。今回が10回目の記念であり、Sodom、Overkill、Exodusというメンツであれば納得ではある。しかし2009年に最初にスラドミに行った際にはもっと客の平均年齢が高かったような気がするが、今回は比較的若人の姿も多かったような気はする。私自身の加齢が進んだだけという説もある。全ては闇の中だ。そんな路傍の石を数えるよりどうでも良い感慨を噛み殺しつつ、埋まりつつあったコインロッカーにどうにか荷物を預けてバタバタしていると、定刻通りにThrash地獄の門は開く。
・Sodom
先陣を切るのは、ジャーマンスラッシュ三羽烏において、最も(主に知性が)邪悪であることでお馴染みのSodomだ。正直な所を言えば、ジャーマン三羽烏では、Kreator>>Sodom>Destructionというのが個人的な思い入れの順であり、彼らのステージは今回そこまで楽しみにしているワケではなかったのだ。なかったのだが、オープナーのMy Final BulletからOutbreak Of Evilの流れで一気に私のくだらん自意識はぶっ飛ばされた。おい、Sodomむちゃくちゃカッコイイじゃねえか。ステージ上を見なければスリーピースであることを忘れるクソやかましく汚い音、冗談みたいに低い位置にベースを構えて吠え猛るエンジェルリッパーの立ち姿、端的に言って最高なのだが。ごめんよ、今まで「Sodomの壁」だなんて呼んでごめんよ。基本的にスラッシュメタルってパンク/ハードコアって切り離せない関係にあると思うのだけど、今回出演した3バンド中、最もその色の強いのはやはりSodomであったように思う。てかスラドミ1日目で一番客の盛り上がりが大きかったのはSodomだったんじゃなかろうか。個人的にはNapalm In The Morningを生で聞けた事が非常に嬉しい。朝に嗅ぐナパームの匂いは最高だ。爆音で聞くSodomのステージは最高だ。余談だが最近はジャーマンスラッシュ三羽烏にTankardを加えてジャーマンスラッシュ四天王として、本家のスラッシュ四天王に対抗する向きがあるらしい。いや、Tankard好きだけど、うーん…?
・Exodus
続く2バンド目はTestamentと並ぶベイエリアスラッシュの筆頭にして、最早スラドミの顔となったExodusだ。しかしExodus本体はスラドミの常連ではあるものの、ボーカルにゼトロ・スーザがいる編成としては何気に初のスラドミだったりする模様。私もロブ・デュークスの編成しか見た事がないので、ゼトロエクソダスは初体験だったりしたわけだ。そんな彼らのステージだが、これはもう流石としか言いようがない。Sodomのメンバーがステージ上の動きが比較的静かであったのに対し、ギターのゲイリー・ホルトとリー・アルタスはとにかく終始動き回っており、トム・ハンティングは本当に楽しそうにドラムを叩いており非常にほっこりする。ベースは謎。そしてゼトロのステージングは、やっぱりロブとは全然違うのな。あちらがハードコアマナーでアジって盛り上げていくスタイルなのに対し、ゼトロは大きな身振り手振りで引っ張るタイプ。やっぱりゼトロが復帰した事でメタルバンドとしての整合性はより高まってたように思う。が、私がExodusのライブに感じてた魅力って、メタルバンドの中に一人だけ毛色の違うヤクザが混じってるいびつさにあったんだという事も感じたりした。こればっかりは好みの問題なのだろうけどね。ま、それでも往年の必殺曲をプレイされるとアヘ顔でメロイックサインをするしかないのであって、生でMetal Commandが聞けるなど喜び以外に言葉がない。そういやゼトロになってもStrike Of The Beastではウォールオブデスが起こるのね。少し笑った。
・Overkill
1日目のトリを飾ったのはスラドミへの出演は3回目となるOverkillだ。以前のスラドミで見た時には、フロントマンのボビー・"山口貴由漫画に出てきそうな筋肉・ブリッツ"・エルスワースのアクションに衝撃を受け、ライブ後一週間くらいは彼のアクションを真似したりしたものだが、今回のステージでも相変わらずの筋肉フィーバーであった。鍛えぬかれた筋肉によって、到底60近いとは思えぬパワフルなヴォーカルで客を魅了し、間奏が始まるとステージの袖に消え、ボーカルのパートになればその筋肉によってステージに稲妻の如く舞い戻るパフォーマンスはやはり筋肉としか言えないし、ギターの片割れもライブ中盤で上半身の服を脱ぎ捨てて筋肉アピールを始めるし、このバンドにとって筋肉とは楽器なのである。先ほどから筋肉の事しか書いてない気がするが細かい事は気にするな。We don't care what you say...Fuck you!
とまあ、そんなこんなで非常に濃厚極まるスラッシュメタルの祭典であった。本当に今回のスラドミは好き者にはご褒美以外の何物でもなかったように思う。次回スラドミには活動を再開しているDark Angel辺りが参加してくれると非常に嬉しい。そんな思いを抱きつつ、今回のスラドミのメンツと関係のないDefleshedのFast Forwardを聞きながら家路についた。やはりかっこいい。