Culthouse diaspora

風が辿りつかない場所

2012年のベスト的なアレ

2012年、人類は死滅しなかった。しかし、このブログはほぼ死んでいた。

年が明けて既に一ヶ月が経過しようとしてますが明けましておめでとうございます。昨年は色々あった気がしますが、多分生きてましたよ。そんなこんなで2012年に聞いた音楽のベストでも挙げます。順不同。




1.Kreator/Phantom Antichrist

言わずと知れたジャーマンスラッシュ三羽烏筆頭の13作目。アグレッションを前面に押し出した前作からの流れは汲みつつも、Endrama辺りのヨーロピアンメタルの香りを色濃くし、ベテランらしい貫禄と活動歴30年にも関わらず衰えを全く感じさせないパワーで押し通す力作。果たして本作がKreatorらしいアルバムかと言われれば微妙にもにょる所ではありますが、個人的にやっぱメタルっていいよなって思いにさせてくれた作品は昨年でこのアルバムだけ。2012年に来日してくれなかったので今年こそライブが見たいのです。でもスラドミでの来日は無くなったので望み薄かなあ…。



2.堀江由衣/秘密

我らが永遠の17歳+n年目声優、ほっさんの2年7ヶ月ぶりのフルアルバム。1作目の「水たまりに映るセカイ」から早12年、昨年ベストアルバムもリリースされましたが、オリジナルアルバムとしては8作目となる本作も、シンガーとしての堀江由衣のキャリアの総決算とも言える程にバラエティに富み、キラーチューン目白押しの非常に聴き応えのある作品となってます。以前にナタリーのインタビュー記事を読みましたが、この人自身も相当にこだわってアルバム製作に取り組んでるんだなと。周りのソングライターに恵まれてることも勿論あるのでしょうけど、こんだけ作品出しててアルバムがマンネリにならない声優もなかなかいないのでは。#11で「世界を救いましょう」って歌ってるくらいですので、やっぱりほっちゃんこそがPhantom Antichristなのでしょう。



3.Martyrdod/Paranoia

スウェーデン産クラストバンドのレーベルをSouthern Lordに移しての4作目。昨年の同じくらいの時期に聞いたWolfbrigadeやTragedyの新作には若干物足りなさを覚えたりしたのですが、こちらのMartyrdodは相変わらず。冷気の漂うような鋭いリフとメロディを撒き散らしながらパンキッシュに駆け抜けてく曲ばっかりで、ただただ爽快の一言。既定路線?マンネリ?カッコ良けりゃそれでいいんだよクソッタレという居直りっぷりが凄く頼もしいアルバムでした。



4.Gaza/No Absolutes In Human Suffering

アメリカはソルトレイク出身のハードコアカルテットの3rdフルアルバム。うっさい、重い、暗い、速い、そしてバンド名。このご時勢にテロ大博覧会ですか。いいぞもっとやれ。Convergeの新作に足りてなかったものが概ねこのアルバムにあったような気がします。



5.Master/The New Elite

1983年から活動を続けるシカゴ出身の老舗デスメタルの11作目。バンマスのPaul Speckman(vo/bass)は2003年にアメリカからチェコに移住し、現在はチェコ人のギターとスロヴァキア人のドラムの3人編成でバンドをやっている模様です。一体何やらかしてチェコに移り住む羽目になったのでしょうね。前作から2年ぶりとなる本作ですが、これまた相も変わらず。とりあえず人種性別宗教政治問わず、新鮮な肉の臭いを嗅ぎ取ると鉈ぶん回して襲い掛かってくるMotorheadみたいなサウンドは健在、てか徹頭徹尾それしかねえ。Paul Speckmanはもう49歳らしいんですが、多分死ぬまでこの調子なのでしょう。俺もチェコに移住しようかな。


6.Ne Obliviscaris/Portal Of I

オーストラリア出身のシンフォ/プログレブラックメタルの1stフル。デビュー作のEPからレーベルを探し続けて5年目にしてようやくのリリースとのこと。吹雪のようなブラックメタルパートとヴァイオリンを大胆にフィーチャーした静寂パート、それら美と醜、静と動のコントラストによって描き出されるのはファイナルファンタジーのラスボスみたいなジャケ絵が示す通りの最初から最後までクライマックスパートだけのオタ臭いRPGみたいな世界。どうなんだよソレ。全7曲72分、どの曲もほぼ10分超の長尺なナンバーばっかりですし曲展開もそんなにパターンがないので、数曲聞けばお腹一杯になりますが、それこそ掃いて捨てる程いるこの界隈の中では、インパクトで頭一つ抜けてた気がします。Disillusionの1st辺りにやられた人の琴線には引っ掛かるものがあるんじゃないでしょうか。



7.In The Silence/A Fair Dream Gone Mad

米国産オルタナメタルバンドの1st。雑に例えるなら後期Sentencedと最近のKatatoniaを掛け合わせて、それらをA Pirfect Circle辺りのオルタナロック方面から解釈したような感じでしょうかね。えろくうねりつつ熱を失わないギターとやたらにパワフルなドラムとが相まって、全体的に暗いんだけどもどっか活力に満ちた所がやっぱりアメリカだなあと。とにかく曲構成やメロディのセンスが新人とは思えぬ程抜群で、イントロのアコギからダイナミックに広がってく#3とか超カッコいい。アルバム終盤で少々失速気味なのが残念ではありますが、まあそこはそれ。もう何年かすると更に化けそうですし、今からハイプしときます。


8.Mors Principium Est/...And Death Said Live

フィンランド出身のメロデスバンドの前作から5年ぶりとなる4作目。前作の発表後にヴォーカルやメインソングライターのギターが抜けたりとゴタゴタしまくったこのバンド、期待半分不安半分で聞いたこの新作ではありましたが、いざ蓋を開けてみれば最早モダンでも何でもなくなったモダンメロデスが満開であり、思わず「うん、これこれ、こういうのでいいんだよこういうので」と頷きたくなるような衝動に襲われて色々ヤバイ。曲書いてる人間は変わってますが、基本的な路線は何も変わらず。というか傑作だった2ndに匹敵するくらい気合の入ったアルバムじゃないかと。


9.Propagandhi/Failed States

カナダ出身のポリティカルパンクの6作目フル。今作で初めてこのバンド知ったのですが、こんな出オチみたいなバンド名なのに結成は1986年というベテランなのですね。しかも今作のタイトルが「失敗国家」て。なんぼ政治的な主張を歌詞に盛り込んだ所で面白くなるだけなので非常にずるいと思います。アルバム自体は気持ちの良い疾走パンクナンバーだらけで凄く良かったですことよ。過去作も漁ってみようかしらね。


10.Deathspell Omega/Draught

フレンチブラックメタルの雄の前作5thフルから2年ぶりとなるEP。この連中もなんだかんだでコンスタントに作品リリースしてますな。恐らく次のフルアルバムへの繋ぎとなるであろうこのEPですが、底意地の悪い真っ黒黒ブラックメタルなのは変わらず、ただ全体的に曲がコンパクトにまとまり、全体的にパンクっぽい音作りになってるのが印象的。フルアルバムもこの路線でやって欲しい所ですが、多分変えてくるんでしょうね。


11.Saturnus/Saturn in Ascension

デンマーク産の真正ゴス/ドゥームメタルバンドの前作から6年ぶりとなる4thフルアルバム。パウロ・コエーリョの小説を元ネタにした前作は強烈な内容でしたが、それでも6年の歳月は彼らのスタイルを、すごい、何一つ変えてない。ひたすらに陰鬱なメロディが支配する暗黒世界を遅く重苦しいリズムがずるずると引き摺ってくサウンドは嫌になる程健在。しかも前作に比較すると音の広がりと力強さが増しており、ああ、もしかしてこれが「アセンション感」ですか。アルバムタイトル含めてこれが彼らなりの流行への乗り方なのでしょう。実は馬鹿だろお前ら。どうやら96年に1stを出してから6年おきにフルアルバムをリリースしてるようですので、次作は2018年辺りに出るのでしょう。そしてまた「まだ生きてたのこいつら」って思いに囚われるんだぜきっと。


12.Dragonforce/The Power Within

ご存知英国出身のメロスピバンドの5作目。色んな所でネタにされ過ぎて彼らが「イギリス出身」だったことに最近新鮮な驚きを感じるようになってきた今日この頃です。新ヴォーカルが加入してから1作目となる本作。1作目から前作まで金太郎飴みたいなアルバムばっかり送り出してきてた連中ですので、ヴォーカルが変わったからといって特に何の期待もしてなかったんですが、いざ音源聞いてみたら普通に良いメタルアルバムになっててビックリ。持ち前のエネルギッシュさはそのままに、無駄を省いてシンプルにまとめられた楽曲はどれも粒揃いで好印象。ドラフォにも円熟味って出てくるんだなあって感心することしきりでありました。新しいヴォーカルも目立った個性はないですが良い仕事してるんじゃないでしょうか。以前は「学芸会」と称されたライブパフォーマンスも昨年のラウパで見た時には安定してましたし、ドラフォのクセに。


13.ROSEROSE/Skatethrash Heaven

結成から今年で30年を迎える日本産"スケートロック"バンドの何枚目か分からないが新作。名前だけは前から知ってるバンドだったのですが、昨年の春先くらいに見た天井知らずにテンションの上がっていくライブパフォーマンスに見事やられて大好きになりました。パンク?ハーコー?スラッシュ?いいえ、スケートロックです。またライブ行きてえなあ。


次点
・スフィア/Third Planet
・Anathema/Weather Systems
Napalm Death/Utilitarian
Lamb of God/Resolution
・The Great Old Ones/Al Azif
・AtomA/Skylight
・Algol/Complex Shapes
・The Gaslight Anthem/Handwritten


とりあえずこんな所ですかね。今年は昨年よりも更に更新の頻度下げたいと思います。それではさようなら。