Culthouse diaspora

風が辿りつかない場所

Voices/London (2014)

 

London

London

 

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 英国のデス/ブラックメタルバンド、通称「性病のクリスマスツリー」ことAkercockeの残党による2作目。「残党」とは言ったものの、メンバー4名中3名がAkercockeの元メンバーなので、ぶっちゃけ別名義の新バンドと言った方がよろしかろう。尚、レーベルはEaracheからCandlelightへ移っている模様。

Akercocke時代の2007年にリリースされた最終作「Antichrist」はアングラデスメタルと凝った展開による構築美を英国人らしいブラックジョークで意地悪く仕上げた怪作で、私を含めた一部のロクデナシ界隈でネタになったものだ。で、それから約7年ぶり(1stが2013年にリリースされてるがそちらは未聴)に聴いたこの連中の音は・・・うわ何も変わってねえ。

メロウなアルペジオに導かれて朗々と歌い上げるイントロから始まったと思えば、2曲目のドタマでいきなりその静寂が腐臭と汚泥に満ちたデスメタル沼に放り込まれる。何の嫌がらせだ。その後も腐ったデス/ブラックメタルを主軸としながらも、随所で差し込まれるナレーションやロンドンの喧騒(?)を彷彿とさせるSEが、薄暗く暗澹としたロンドンの裏路地の情景(行ったことない)を浮かび上がらせるのに一役買っている。だから何の嫌がらせだ?全14曲1時間、このアルバムを聴き終える頃には、すっかりロンドンのイメージは最悪になっている。だから何の嫌がらせなんだよ?君らは自分の故郷がどんだけ嫌いなのさ?その昔どっかの国のバンドが「TOKYO 狂った街」と歌ってたが、ああ、まあそれはいいや。

とにもかくにも英国メタルの暗黒面を半笑いで底意地悪く描き出すこの連中が全くもって健在であったことが非常に喜ばしい。それにしても検索しにくいバンド名になって、しかも検索しにくいタイトルのアルバムをリリースしてきたものだな。まあ、嫌がらせなのだろうけど。

 


Voices - The House of Black Light 10 - YouTube