Culthouse diaspora

風が辿りつかない場所

Profound Loreあれこれ

Profound Lore Recordsというレーベルがあります。2004年にChris Bruniなる人物が設立したカナダのレーベルで、設立以来少々変り種のデス・ブラックメタルを中心にリリースし、現在ではロクでもない方向に自意識をこじらせたバンドの巣窟みたいになってる大変愉快なレーベルです。レーベル名は皮肉か?
(ちなみにレーベルオーナーのChris Bruniがインタビューに応じてる映像があったのですが、Autopsyのシャツ着てやがるよこの人)

そんなこんなで今回はPFL所属の代表的なアーティストでも軽く紹介していこうかと。エクストリームなもの聞きまくってる人には何を今更な感じかもしれませんが、まあそこはそれってことでね。現在PFLに所属している連中でレーベルカラーが強く出ていると俺が感じている連中からセレクトしてます。



Agalloch
Myspace
アメリカはオレゴン州出身のブラックメタルバンド。97年くらいから活動してる連中なのですが、PFLからのリリースは去年リリースの4thからで、それまではThe End Recordからのリリースだった筈。Still Life辺りのOpethからウェットな所抜き取ってドライさで覆ったようなイメージだったのですが、新作ではオレゴンの豊かな大自然由来(よく知らないけど)の"土着"って言葉を全部悪い方向に解釈したような音で、これはこれで大変に良いです。


Altar Of Plagues
Myspace
アイルランド出身のブラックメタルトリオ。活動は2006年頃から。「Wolves In The Throne Roomに対するアイルランドからの回答」ってレビューを見つけて笑いましたが、そんな感じのポストロックとブラックメタルの融合を図った雰囲気重視型ブラックメタルです。"セカイ系ブラックメタル"とか呼んでおくと恥ずかしい思いが出来るでしょう。このバンドはその中でもちょいポストロック方面への志向が強めかな。たまにフューネラルドゥームから影響受けたような曲も。


Amber Asylum
Myspace
カリフォルニア出身。Kris Forceを中心としたユニットで、96年辺りから活動。かつてはNeurosisのSteve Von Tillが参加してたこともあるようで(ちなみに現在4人いるメンバーはKris含めて全員女性)。そんな絡みもあるのか2000年まではRelapseに在籍、PFLからのリリースは2007年のStill Pointというアルバムから。サウンドとしてはダークアンビエント・ダークウェーブ・暗黒ヒーリングミュージックとかまあそんなカテゴリになるのかしら。部屋の隅で体操座りしつつハイライトの消えた瞳で虚空を見つめたい時には大変重宝します。もう何もしたくない。


Bloody Panda
Myspace
ニューヨークの実験ドゥームメタルユニット。ヴォーカルはYoshiko Oharaという日本人女性。Kayo Dotとスプリット出したりEyehategodのトリビュートに参加などしつつ、2作目のアルバムをPFLからリリース。これがもうヴォーカルの姉ちゃんが叫ぶわ喚くわお経みたいだわバックのサウンドは無闇に禍々しいわの、なんかもう魔界チェンバーみたいな奇怪なシロモノ。ちなみにレーベルの紹介文には「三池崇史大島渚の映画を掛け合わせてドゥームメタルに翻訳したらこんな感じじゃね?」とありました。おい。この「血塗れパンダ」ってバンド名にも何か元ネタがあったって話を聞いたんだけど忘れた。誰か教えてください。


Grayceon
Myspace
カリフォルニアのフォーク/プログレメタル。フロントマンはAsunderやNeurosis等にも関わってたJackie Perez Gratzなる女性。色んなバンドでチェロを演奏してるこの人ですが、Grayceonではチェロとヴォーカル、メインの作曲を担当してる模様。2010年にPFLからの2作目をリリース、チェロを思いっきりフィーチャーした暗黒フォークプログレメタルをやってるんですが、割とこじんまりとまとまっちゃってる感じはする。


Krallice
Myspace
ニューヨーク出身のブラックメタルカルテット。活動は2007年頃から。Altar Of Plaguesらと同じくセカイ系ブラックメタルの流れで語られることの多い連中ですが、彼らの特徴は他の要素が見えなくなるくらいに掻き鳴らされるトレモロリフ。ひたすらにトレモロ。金太郎飴みたいにトレモロ。そんなトレモロの変化だけでどこまで雰囲気や情感を出せるのか勝負した2作目は凄いアルバムでしたが、つい先日リリースされた3rdではドラムの主張が強くなり、メタルらしいダイナミズムがくっ付いて来た感じで、順当に成長してるようですね。バンド名から「カリオストロの城」をすぐに想像しちゃった人は俺より年上の筈です。


Mitochondrion
Myspace
カナダ産のデス/ブラックメタルユニット。一体何故今ミトコンドリアなのか?1stフルは自前でリリースしてたようですが、今年2作目をPFLからリリース。タイトルは"Parasignosis"、イエス、「パラサイト」で「グノーシス」だ。馬鹿だろお前達。中身の方もDeathspell Omegaと最近のBehemothの汚い所ばっかり掻き集めて魔界転生させたようなロクでもない音になってて、しかも何気にコンセプトアルバムちっくに曲間なしで各トラックが繋がってたりとか頭おかしいです。今年の新年早々笑い転げたアルバムでした。普段どんなこと考えながら暮らしてるんだろこいつら。


Portal
Myspace
オーストラリア出身の暗黒デスメタル。詞やコンセプトにクトゥルフネタを用いる連中は山のようにいますが、サウンド面まで徹底してる奴らはそんなに多くないです。で、こいつらはその後者。同郷のBerzerkerにも通じるようなサイバーなデスメタルを下地に、「恐るべき」「忌まわしき」「地獄の」「宇宙的な」「深淵の」「病的な」「嘲笑を」「冒涜的な」「名状し難い」を注ぎ込んだサウンドをやらかしてます。知人が「クトゥルフ神話は世界一安全なカルトなんですよ!」って主張してましたが、色々と気を付けた方が良いと思います。


Yakuza
Myspace
シカゴ出身の実験系カオティックコア。その名もヤクザ。ハーコーmeetsジャズmeetsアンビエントなサウンドが彼らの特色。2010年にPFLからリリースされた新作は、前作の面白いことはやってるにも関わらず散漫な印象が上手く払拭されたアルバムになっております。まあ、バンド名の割りにメンバーがナードっぽい外見だったりサウンドも別にヤクザな感じではないけどね。



とまあこんな感じで。他にもLudicraとかYobとか今度新作出すLossとかいますし、昔所属してた連中も紹介したかったんですが、そこはまた気が向いたらってことで。とにかくハズレの少ないレーベルなので、上記の奴らに少しでも引っ掛かるもの感じた人は、今後もPFLは要注目ですよん。