Culthouse diaspora

風が辿りつかない場所

2013年上半期ベスト

2013年も7月を迎えましたね。皆様いかがお過ごしでしょうか。
私の近況と言えば、相変わらず酒飲んでアニメを見て仕事に行きたくありません。平常運行ですね。つまんね。
ああ、そうそう、年明けに今年は本ブログの更新頻度を減らしますと宣言していましたが、その宣言だけは守ることが出来たようです。
ちなみに読書メーターのまとめすらブログに投げ込まなくなったのは、本当に本を読まなくなったからです。なんかメンタルが読書に向かってないのですよ。まあ、どっかでまた流れが向いてくるのでしょうけどねえ。
ともあれネット上で何かしらの目標掲げてそれを遵守したことなどこれまで一度もなかったので、これは快挙です。記念すべき出来事だよ。祝福しろよお前ら。具体的には500万円くらいくれ。早く。ほら早く!

まあそんな本音はさて置き、今年の上半期に聞いた音源のベスト的なアレでも晒していきます。一応気に入った順に並んでます。



13.Portal/Vexovoid

今年の11月にまさかの来日が決定したオーストラリアの"クトゥルフ"デスメタルバンドの4作目。
歌詞の内容は1stの頃から一貫してクトゥルフ的なナニやアレを題材にしてるらしいのですが、やってることはちょいブラックがかったグチャグチャデスメタル。ああ、それも宇宙的恐怖がどうこうってより「音で表現するぼくのかんがえたすごい地獄」だなコレ。前作と並べて聞かされても差異なんか分からないですし、そも曲の違いとか本当にどうでもいいのですが、とりあえずロクデナシであることだけは今作も異様な説得力を持って届けられる非常に頼もしいアルバムでした。バーカバーカ。こんなテーマ扱ってる割にノイズやアンビエントパートで無駄に曲の尺引き伸ばしたりしないから好感持てるんですよねこいつら。とりあえず来日の折にはライブが終わった後に「これが日本のクトゥルフ文化だ」とか言ってニャル子さんのCDでも押し付けに行こうかと思います。


12.妖精帝國/Pax Vesania

妖精帝國終身独裁官にして皇女たるゆい様が率いる「人間がいつしか忘れてしまった、妖精を信じる純粋な心を思い出してもらう」という概念の元に活動する。人間界で言うところのファンを臣民(しんみん)として、ライブを式典と呼称する。正式名称は妖精帝國第三軍楽隊(wikipediaより引用)」の9作目のフルアルバム。…って9枚目?すいませんGothic Lolita Propaganda以降からしか存じ上げませんでした信心が足りませんでした。今作からツインギター編成になったせいか、前作よりメタルに振り切れた印象でなんかもう、良いです。twitter上での発言とか上記の頭茹ったようなコンセプトとか、本作のラストに収録されてる「機械」のカバーだとか、本当に聖飢魔Ⅱとか筋少とか好きだったんだなあってことが否が応にも感じられてこう、いとおしいです。だから何度も言うがな、ゆい様はラウパとかのデカいメタルのライブの会場でひっそりとメロイックサインしてる写真をtwitter等にアップしてるのが良いのであって、オズフェスやラウパに妖精帝國が出ればいいとか言ってる奴は何もわかってねえんだよ!と、勝手に仮想敵こしらえて闘うのとてもたのしいです。たのしい!



11.Shai Hulud/Reach Beyond The Sun

フロリダ出身の叙情系ハードコアのベテランの4作目となるフルアルバム。今作は元メンバーであり現New Found GloryのChadをヴォーカル&プロデュースに迎え入れての作品であるとのこと。この界隈の先駆者であり、UnearthやAs I Lay DyingやらMisery Signals辺りもShai Huludのサウンドを影響元の一つとして公言してるらしいのですが、先に挙げた連中に比べるとバンドとしてはいかんせん地味っつうか、目立ってないよなどうにも。しかし今作はそんな彼らの作品の中でも間違いなく会心の出来じゃないでしょうか。小気味よく突っ走る展開とミドル落とし込む展開をスイッチしつつ、あくまでもハーコー由来の男臭い叙情性でもってガシガシと激情を発散してく様は文句無しにかっけえッス。ブリングミーなんちゃらの新作より3倍くらい良い。ジャケやプロダクションからほんのりとブラックメタルからの影響を感じますが、これも作品と非常にマッチしてるように思いますよ。ちょくちょく来日してるようですので、今度のラウパ辺りで来てくれたら嬉しいなあ。


10.DGM/Momentum

イタリア産プログレ/パワーメタルの通算8作目。日本では2004年にリリースされた5作目の「Misplaced」がメロスパーホイホイなアルバムで局所的に話題になったりしたものでした。まあ、今考えてみると同作の国内盤のボートラが「愛を取り戻せ」のカバーってホントに雑な感じはしますが、ああいうの多かったよなあの頃。と、それはさて置き、その後も地味にリリースを重ね、前作から間にベストアルバムを挟んでの4年ぶりのフルアルバムとなる今作でございますが、ちょっとこれ、凄いアルバムじゃないかね?元々作品によってメロパワ寄りだったりプログレメタル寄りだったりはするものの、コンスタントに80点代前半のアルバムを作ってるようなバンドだったのですが、そっから更に一皮剥けて化けた印象。もうのっけから最後まで全身の毛穴が開くようなメタルチューンの目白押しでもう何かに目覚めそう。間違いなくゼロ年代以降のメロパワの一つの極致であり、理想型でありましょう。痺れたですよ。


9.Satan/Life Sentence

NWOBHMの雄、Satanが実に26年ぶりに放つ3rdフルアルバム。初めてtwitterでSatanが新譜を出すって情報を知った時には我が目を疑ったものです。だってSatanですよ?よりにもよって何故今Satanが、しかも何故オリジナルのメンバーで復活するの?2013年って何なの?まあ、NWOBHMの連中って今でも年に5バンドくらいはアルバム出してるらしいのですが(Angel Witchも去年新作出して来日してたし)、それにしたって、なあ?で、そんなSatanの新作ですが、まさか30年前のCourt In The Actの頃とあんまり変わらない音質で、これまた30年前とほとんど変わらないような曲が展開されるとは誰も思わなかっただろうよ。新しい要素が一つもなくて本当に凄い。十年一昔とは言いますが、この連中には時間の流れすら意味を為さんのでしょう。どんな生活してたらこうなるんだろうな。


8.Alice In Chains/The Devil Put Dinosaurs Here

US出身オルタナロックバンドの5作目。思えばまさかの復活って言われた前作からもう4年ですか。早いものデスネー(棒読み)。正直前作聞いた時は次のアルバムが出るとは思ってなかったんで新作の報には結構驚きました。まあそもそもAiCのアルバムってレインが生きてた頃からほとんど次が無さそう作品ばっかりでしたけど。で、前作も非常に良い作品であったとは思うのですが「レイン亡き後のAiC」みたいな向きがちらほらと感じられて、どうにも個人的に嵌りきれなかった部分がありまして。ぶっちゃけ新作もそんなに期待はしてなかったんですけど、あれあれ、普通に良いッスよ。暗くてポップで気怠くて、なんだやっぱりAiCじゃねえかコレ。やってること自体はほとんど前作から変わらんというか、Satan程じゃないにせよこの人ら今後も多分ずっと同じことしかやらないような気は激しくしますが、とりあえず本作は復活作の次、てことで良い意味で力が抜けたアルバムになってるんじゃねえでしょうか。勿論レイン在籍時の魔力みたいなズブズブ感はないけど、もうジェリーのソロで良いじゃんとか、俺言わないよ!



7.高垣彩陽/relation

スフィアのメンバー中最後までソロアルバムをリリースしていなかった声優、高垣彩陽の1stアルバム。大学で声楽を専攻してた話は有名ですし、数年前にネットで話題になったキグルミ惑星もあって、兼ねてより歌唱力には定評がある人でしたので、その1stアルバムに寄せる期待は個人的にも大きかったのですが、いざ、蓋を開けてみれば…あ、うん、正直SeeSawの地味目な曲みたいなのが割と多くてそんなに…ごめんなさい嘘ですやっぱり大好きです。タイアップに使われた曲がもう、どれもこれも90年代後半〜00年代前半のスターチャイルドレーベルにヤられて大きくなった身にはねえ、もうねえ、ノーガードで受け入れるしかねえのですよ。やっぱスレイヤーズのアニメ見て声優目指した人は信頼出来るな。ま、やっぱり割と地味目な楽曲が多いには多いのですが、アルバム終盤に収録されている「夢のとなり」が、ミドルテンポから転調して一気に広がるド名曲でまさしくキラーチューン。この曲の存在がアルバムの印象を倍くらい良く感じさせてると言っても過言ではないでしょう。そういえば先日ニコ動でシンフォギア1期の一挙再放送をやってましたが、やっぱりクリスちゃんかわいい。本当にかわいい…。



6.Voivod/Target Earth

カナダ産スラッシュメタルの13作目。もうさ、2000年代も13年が経とうとしてるってのに、活動歴が30年超える大ベテランのバンドのジャケがコレだぜ?そしてひり出してきた音がこんな有様だぜ?前作、前々作と引っ掛かるものはあっても、どうにも煮え切らない印象が拭えない作品でありましたが、今作はカナダの捻くれスラッシュの意地と底意地の悪さを見せ付けた会心のアルバムかと。収録曲のどれ聞いても黒くてうねうねしてるし、リフはなんかヴェヴェ鳴ってて気持ち悪いし、30年もバンドやってて何でこんなビョーキみたいな音出せるんだろこいつら。このアルバム初めて聞いたの風邪引いた後の病み上がりの時期だったんですが、これ通しで聞いたらまた風邪がぶり返しました。やっぱ聞いて体調悪くなってこそメタルだよな。2008年の初来日から結構間が空いてますし、そろそろまた来日してくれていいのよ?



5.戸松遥/Sunny Side Story

声優、戸松遥の2ndアルバム。前作はオタ臭くなり過ぎず、かと言って洗練され過ぎないアイドルポップ、という腐れ声優オタ(俺だ)の琴線をピンポイントで直撃してくる快作でありましたが、今作もその絶妙な按配を保ったまま、より楽曲が洗練され、今がまさに旬のとまっちゃんの魅力が思いっきり凝縮された一枚となっております。特にアニメ「となりの怪物くん」のOPテーマにもなった#2の「Q&Aリサイタル!」のアンセム感凄いです。間違って家族や職場の人間には見せられない感じの笑みが浮かんでしまう。で、この曲の作詞作曲を手がけているのが先に挙げたあやひーのアルバムでも「夢のとなり」という超必殺チューンを担当したUnison Square Garden田淵智也という人物で。こいつは何度俺の前に立ちはだかる気なのだ?ちなみに昨年堀江由衣がベストアルバムを出した際の田淵氏へのインタビューの記事がナタリーに載ってたのですが(これ)、他の面子がまっとうに答えてる中、この人だけが気色の悪い声優オタの鑑みたいな返答をしてて、本当に気持ち悪いです(褒めてます)。てか田淵氏って俺と年齢一緒じゃねえか。やっぱりもう俺は生きてなくて良いな。話題が逸れましたが、とにもかくにも戸松遥の2ndは今年の音楽シーンを代表する一枚であることは間違いないので、上半期のベストで本作に言及してない音楽レビューサイトはもうどこも信用しなくていいです(断言)。



4.Mouth Of The Architect/Dawning

アメリカはオハイオ州出身のポストスラッジメタルバンドの4作目。前作「Quietly」ではジャケ通りの灰色の世界を退廃的かつ幽玄に表現しきった名作でありましたが、それから5年ぶりとなる今作も、これまた鮮烈な作品。作品ごとにちょいちょい色合いを変えてくる彼らですが、今作では前作にあった少々ゴスっぽい空気は姿を消し、よりメタルっぽい展開が増えた印象。そう多分「還俗した」って表現すると収まりが良いでしょう。「Dawning」なんてタイトルが付いてる割に浮かぶ情景はずっと黄昏時。曲名通りに終末の情景をドラマチックに情緒的に描き出す「How Will This End」は特に圧巻。先ほどは「還俗した」などと書きましたが、この連中ってば昔っからどっか俗っぽいのですよね。涅槃の向こう側までは行き着かないスタンスがこのバンドの魅力でもあり、同時にNeurosisやIsis辺りに比肩する所までは行かない理由なのかもしれませんが。ともあれ、本作が終末フェチにはこの上ないご褒美みたいなアルバムであることに相違ないのは確かなのです。セカイ系は死なない。



3.Black Sabbath/13

最早説明不要、イギリスはバーミンガム出身の世界中のロクデナシとボンクラ共の帝王、Black Sabbathの18年ぶり、オジーヴォーカルのサバスとしては78年の「Never Say Die」以来35年ぶりとなる新作。先行で公開されてた「God Is Dead?」を試聴した時には、確かに悪くはないけど復活作ってこんなもんだよなあってくらいにしか思わなかったのですが、アルバム聞いて印象が丸っきり変わりました。もうアルバム1曲目の最初の音が鳴った瞬間に魂持っていかれる類のアレ。重くて暗くて、そして何よりいかがわしくて胡散臭いサバスサウンドそのものじゃねえですかよ。それも昔の同窓会的な懐古ノリではなく、ましてや60過ぎた年寄りの冷や水なんかでは決してない、きちんと「現代のサバスの音」としてそれらが展開されてるのが凄い。この辺は本作で参加したRAMのドラムでもあるブラッド・ウィルクやプロデューサーのリック・ルービンの貢献も大きいのでしょうけども。むしろビル・ワードいないのは正解だったのでは(笑)何はともあれ、オリジネイターとしての貫禄と威厳を見せ付けたアルバムであることに間違いはないでしょう。やっぱりオズフェスト行っておけばよか…何でもありません。



2.Church Of Misery/Thy Kingdom Scum

国産ドゥームロックバンドの4年ぶりとなるフルアルバム。元々メンバーの入れ替わりが激しいバンドではあったのですが、2011年のヨーロッパツアー後にヴォーカルとギターが相次いで脱退、流石にちょっと大丈夫なのかコレ?と思われてた彼らですが、昨年新しいギタリストを迎え、前作のレコーディング後に失踪してたヴォーカルのFukasawa氏が復帰しての4作目と相成った模様です。とまあ、そんなあーだこーだがあっても根っ子が全然ぶれないのがチャーチがチャーチたる所以でしょうか。相も変わらずどっかのシリアルキラーをネタにしながら、キレの良い強靭なリズム隊と黴臭くて泥臭いメロディでもって聞き手を否応なく深みに引き込んでブチ殺すような彼らの持ち味はどこまでも健在。度数の強い酒飲みながら大音量で垂れ流すとより一層浸れますわよ。海外での評価も高まっている彼らですが、本作も細かいゴタクを粉砕するカッコ良さに満ち溢れて最高です。9月のEternal Elysiumとのライブもすげえ楽しみです。



1.μ's/ラブライブ! μ's Best Album Best Live! collection

μ'sミュージックスタート!



とまあ、こんな感じです。
他にも藍井エイルの1stとかあさきの新作とかモノリスデスカルトの新作とか、かな恵ちゃんの新作もなんだかんだで良かったですね。聞き逃してるヤツはいっぱいありそうですが、まあ、それらはまた年末にでも。


ついでに上半期のワーストも書いときます。

・Burzum/Sôl austan, Mâni vestan
もういいからとりあえずご家族と平穏な余生を全うしてください。

Megadeth/Super Collider
おっさんメタル勢が気吐きまくってた感のある今年の上半期でしたが、大佐の新作は…ああ、うん、やっぱりちょっと擁護出来ないや。

・Deafheaven/Sunbather
これがハイプされる理由はなんとなく分かるんですが、悪の華のアニメと一緒でやっぱりコレ褒めちゃいけないって気分に全力でさせられた一枚でした。またぞろ「次世代のブラックメタルのカタチ」とか言われてるみたいですが、どう転んだってシュゲブラなんざサブカル崩れの自意識の慰み物以外の用途はねえよド糞が。とっとと潰えてしまえばいいよそんな次世代。

他にもハナザーさんとか竹達肉さんの1stとか、アルバムの内容自体は悪くなかったんですが、「コレが渋谷系の逆襲だ!」みたいな言い方してる連中が多くて吐き気がしたのでベストからは即除外しました。くたばれ。


そんなこんなで下半期も素敵なアルバムに巡り合えますように。声優のアルバム持ち出してきてポジショントークする輩が根絶やしになりますように。俺が何の苦労もなく500万くらいの不労収入が得られますように。今日は七夕なんで願いを託しておきます。